不動産を売却したいのに、認知症で本人の判断能力が低下していると、家族だけでは手続きができません。そのために必要な「成年後見制度」の手続きは、想像以上に時間も費用もかかります。今回は、申立てから売却手続きに進むまでの流れと、時間・費用・リスクの目安をマンガで整理します。

成年後見制度を利用するまでの流れ
- ① 申立て:家庭裁判所に申立てをします。必要書類の例:申立書、戸籍謄本、診断書、財産目録 など
- ② 審査・調査:裁判所が書類を審査し、必要に応じて本人の面談や親族への事情聴取が行われます
- ③ 成年後見人の選任:裁判所が成年後見人を選任します。弁護士や司法書士、社会福祉士などが選任されることが一般的です(家族が選ばれるとは限りません)
- ④ 後見人の活動開始:後見人が本人を代理して、財産管理や契約などを行います。本人の居住用不動産を売却するには、家庭裁判所の許可が必要になります
- ⑤ 売却の手続きへ:ここまで来て、ようやく売却活動や契約手続きに進むことができます
かかる時間・費用の目安
- 時間:申立てから後見人の選任まで数か月〜、売却許可を含めると1年以上かかることも珍しくありません(家庭裁判所の混み具合やケースによって異なります)
- 費用:申立手数料、登記費用、鑑定費用、後見人への報酬など。数十万円以上かかる場合もあります
- 後見人への報酬:専門職が後見人になった場合、本人の財産から報酬が支払われ、それは原則として本人が亡くなるまで続きます
こんなリスクも
- 売りたいタイミングで売れない(許可が下りるまで買主を待たせられない)
- 家族の精神的・金銭的負担が大きい
- 空き家期間が長引き、固定資産税や管理費などの負担が増える
- 成年後見制度は「本人の財産を守る」ための制度のため、売却代金の使い道も本人のためのものに限られる
「売るだけなのに、こんなに大変」を避けるために
認知症になると、不動産の売却や契約を家族だけで進めることはできません。そのために、多くの時間・費用・労力がかかります。ただし、これはご本人が元気なうちに準備しておけば避けられる可能性のある負担です。次回は、「もっと早く知っていれば」と後悔する前に、今できる備えについてお伝えします。
参考:法務省「成年後見制度」、裁判所「居住用不動産処分の許可」
今は聞くだけシリーズ(全4回)
- ① 認知症になると不動産は基本的に動かせなくなります
- ② 実家を売ろうとして初めて現実を知る
- ③ 家族だけでは進められない現実(成年後見制度の流れと負担)(この記事)
- ④ 「まだ大丈夫」な今にできる備え
まずは「聞くだけ」で大丈夫です
売る・売らないを決めていなくても構いません。ご家族の状況、実家の状態、名義、ローンなど、分かる範囲を伺い、今すぐ確認すること・家族で話すこと・まだ決めなくてよいことを分けて整理します。相談は無料で、売却を急かすことはしません。
お電話の場合:一宮本社 0586-67-2055/名古屋相談所 052-856-5608
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律判断や医療上の判断を行うものではありません。制度の適用や手続きについては、司法書士・弁護士など専門家、または家庭裁判所・法務省の案内をご確認ください。マンガは実話をもとにした構成で、登場人物・場面は再構成しています。
