「最近、親の様子が少し変わってきた」。同じことを何度も聞く、物忘れが増えた——そんな変化を「年のせいかな」と受け止めているご家族は少なくありません。ただ、認知症と診断され判断能力が低下すると、ご本人名義の不動産は売却も契約も基本的に進められなくなります。今回は、父の実家をめぐる、ある家族の実話をもとにしたマンガでその流れをお伝えします。

マンガのあらすじ
- 最近、父の様子が少しずつ変わってきた。同じことを何回も聞いたり、物忘れが増えていった
- 「年のせいかな」と思っていたが、少し心配になり病院で検査を受けたところ「認知症」と診断された
- 医師からは「今後、判断能力が低下していく可能性があります」と説明を受けた
- その後、父は施設に入ることに。残された実家は空き家になった
- 認知症になると、不動産の売却や契約などが難しくなる場合があると、娘はこのとき初めて知った
なぜ「動かせなくなる」のか
不動産の売買や賃貸、解体などの契約は、所有者ご本人の意思にもとづいて行う必要があります。認知症などで判断能力が十分でないとみなされると、ご本人を守るために重要な契約は制限されます。お子さんであっても、家族が代わりにサインして売却することはできません。
家族が手続きを進めるには、家庭裁判所に申し立てて成年後見人を選んでもらう「成年後見制度」を利用するのが一般的です。ただし、その手続きには時間も費用もかかり、売却したいタイミングで売れないこともあります。この点は第2回と第3回で詳しくお伝えします。
「まだ大丈夫」と思っている今が、家族で考えるタイミング
認知症は、ある日突然ではなく、少しずつ進行していきます。ご本人が元気で判断できるうちなら、「実家をどうしたいか」「誰に何を任せたいか」を家族で確認できます。売却を決めるためではなく、選択肢を残すために、今のうちに聞いておく価値があります。
「うちはまだ早い」と感じる方ほど、一度だけ整理しておくと、後になって「もっと早く知っていれば」と後悔せずに済みます。
今は聞くだけシリーズ(全4回)
- ① 認知症になると不動産は基本的に動かせなくなります(この記事)
- ② 実家を売ろうとして初めて現実を知る
- ③ 家族だけでは進められない現実(成年後見制度の流れと負担)
- ④ 「まだ大丈夫」な今にできる備え
まずは「聞くだけ」で大丈夫です
売る・売らないを決めていなくても構いません。ご家族の状況、実家の状態、名義、ローンなど、分かる範囲を伺い、今すぐ確認すること・家族で話すこと・まだ決めなくてよいことを分けて整理します。相談は無料で、売却を急かすことはしません。
お電話の場合:一宮本社 0586-67-2055/名古屋相談所 052-856-5608
※本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の法律判断や医療上の判断を行うものではありません。制度の適用や手続きについては、司法書士・弁護士など専門家、または家庭裁判所・法務省の案内をご確認ください。マンガは実話をもとにした構成で、登場人物・場面は再構成しています。
