「3社に声をかけて、高いところに決める」
土地の売却のご相談で、もっともよく聞く言葉です。
そう考えるのは、自然なことだと思います。
ただ、買う側から見ると、話が少し違います。
この記事では、その仕組みをご説明します。

土地を買うのは、たいてい「そこに建てて売る会社」です
土地を買う相手は、ご自宅を建てる個人の方だけではありません。
多くの場合、そこに建てて売る会社です。
そういう会社は、いつでも土地を探しています。
ただ、探し方が、一般の買主とは違います。
広告を見て回るのではなく、日ごろ付き合いのある会社から情報を受け取っている。
そういう形で動いています。
ですから土地は、どれだけ広く広告を出したかだけでなく、どの会社の、誰に届いたかで結果が変わります。
買う会社は、決める前に図面を引きます
ここが、この記事でお伝えしたいところです。
土地を買う会社は、机の上でおよその金額を出したあと、本当に買うと決める前に、図面を引きます。
- 造成
- 外構
- 上下水道の引き込み
- 区画を割るなら、中に入れる道路
下請けに見積を取り、費用を全部積み上げます。
そのうえで、何区画取れるかを見て、はじめて出せる金額が決まります。
この作業には、手間と時間がかかります。
同じ話が三方向から来たら、そこまでやりません
同じ土地の話が、複数の経路から回ってきたとき。
買う側は、そこまでの手間をかけません。
積み上げたところで、他所で決まるかもしれないからです。
そうなると、机の上で出したおよその金額のまま、話が進みます。
逆に、窓口が一つに決まっていると。
最後まで費用を積んだうえで、机上の見立てより上の金額を出してくることがあります。
一般媒介がいけない、という話ではありません。
買う側にも事情がある、という話です。
どちらの契約が合うかは、物件と、お急ぎかどうかによって変わります。結果をお約束するものではありません。

査定額は「売れる価格」ではありません
もうひとつ、押さえておきたいことがあります。
査定額は、その会社の見立てです。その金額で買います、という意味ではありません。
不動産の査定は、中古車の査定とは違います。
中古車は、その会社が自分で買い取る値段を言います。
不動産の査定は、たいていの場合「この値段で売れるだろう」という見込みです。
同じ「査定」という言葉でも、意味が違います。
では、何を見比べればいいのか
金額だけを並べても、判断できません。
次の4つを、一緒に並べて見てください。
- 根拠になった取引事例 その金額は、どの成約を並べて出したものか
- 想定している買主 誰が買うと見ているのか。個人か、建てて売る会社か
- かかる費用 解体、測量、仲介手数料。手元にいくら残るのか
- 期間 いつまでに、どういう順番で進めるのか
この4つが並ぶと、金額の意味が変わって見えてきます。
査定書を受け取ったら、ひとつだけ聞いてください
査定書の金額が高く出るのには、理由があることがあります。
査定は、近くで成約した物件を並べて作ります。
その中に、業者が買い取って、フルリフォームして売った物件が入っていることがあります。
その物件は、工事代と、業者の利益が乗った価格で成約しています。
同じ地域、同じ広さでも、手を入れていない家とは、別の商品です。
ですから、査定書を受け取ったら、ひとつだけ聞いてみてください。
「この金額の根拠になった取引事例を、見せていただけますか」
見せていただけたら、その中身を一緒に見ます。
専任にすると、身動きが取れなくなりませんか
よくいただくご質問です。3つ、お伝えしています。
- 専任媒介でも、ご自身で見つけた相手とは直接取引できます(専属専任にすると、それもできなくなります)
- 契約期間は三か月が上限です。自動では続きません
- 専任媒介では、依頼を受けた会社に定期的な報告の義務があります
三か月やってみて、動きがなければ、そこで考え直せます。
広告は出さないのですか、という質問
出します。
そのうえで、その土地を評価できる会社の、実際に動ける担当者に、直接お持ちします。
どちらか一方ではありません。
まとめ
- 土地を買うのは、たいてい、そこに建てて売る会社
- その会社は、決める前に図面を引き、費用を積み上げる
- 同じ話が複数から来ると、そこまでの手間はかけない
- 査定額は見立てであって、売れる価格ではない
- 金額だけでなく、事例・買主・費用・期間を並べて見る
売ると決めていない段階でのご相談が、ほとんどです。
順番だけ、間違えないように。

