相続した実家の売却で多いのは、「知らなかった」ではありません。
「まだ時間がある」と思っているうちに、期限が過ぎていたというものです。
期限そのものは、調べれば出てきます。
問題は、期限が2つあって、起点が違うことです。

2つの期限
売った利益にかかる税の話で、相続した不動産に関わる仕組みが2つあります。
ひとつめ 取得費に加算する仕組み
相続税を納めた方が使えるものです。
納めた相続税のうち一定の額を、売った不動産の取得費に加えられる、という仕組みです。
期限は、国税庁の説明ではこう書かれています。
相続開始のあった日の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに譲渡していること
相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月です。
ですから、通称で「3年10か月」と呼ばれます。
ふたつめ 被相続人の居住用財産(空き家)の特別控除
亡くなった方がお住まいだった家を売るときの仕組みです。
期限は、こうです。
相続の開始があった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ること
「12月31日まで」で切られます。
だから、半年以上ずれます
起点も、数え方も違います。
- ひとつめは、相続税の申告期限(10か月後)を起点に、そこから3年
- ふたつめは、相続開始の日から3年、そのうえで年末まで
同じ「3年」という言葉でも、カレンダーの上では半年以上ずれることがあります。
片方の記事を読んで安心して、自分に効くのはもう片方だった。
この取り違えが、実際に起きています。
まず、確かめるのは1つだけ
相続税を納めましたか。
ここで、見るべき仕組みが分かれます。
- 納めた方 → ひとつめが関係します
- 納めていない方 → ひとつめは関係しません
ふたつめは、相続税を納めたかどうかとは別に、亡くなった方がお住まいだった家かどうかなどの条件で決まります。
どちらも条件が細かく、当てはまるかどうかは個別の事情によって変わります。実際のご判断は、税理士にご確認ください。

控除の額が変わる場合があります
ふたつめの仕組みについて、令和6年1月1日以後に行う譲渡では、相続または遺贈でその家と敷地を取得した相続人の数によって、控除の額が変わる扱いになっています。
兄弟が何人で相続したか。そこで額が変わることがある、ということです。
金額はここでは書きません。税理士にご確認ください。
制度そのものにも期限があります
ふたつめの仕組みは、令和9年12月31日までの譲渡が対象とされています。
ご自身の3年の期限より、こちらのほうが先に来ることもあります。
両方を見ておく必要があります。
「3年あるから大丈夫」が危ない理由
3年、と聞くと長く感じます。
ただ、相続した実家を売るには、先にやることがあります。
- 相続登記 名義が亡くなった方のままだと、売れません
- 遺産分割の話し合い 兄弟の意見がまとまるまでに時間がかかることがあります
- 境界の確認 隣の方との立ち会いが要ることがあります。相手のある話なので、こちらの都合では進みません
- 家財の片付け
- 売り出してから、買主が決まるまでの期間
「売れた日」が期限の中に入っている必要があります。売り出した日ではありません。
逆算すると、3年は思ったほど長くありません。
名義が亡くなった方のままなら、そこが先です
相続登記は令和6年(2024年)4月1日から義務になりました。
- 不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内の申請が必要
- 施行日より前に相続したものも対象。その場合の期限は令和9年3月31日まで
- 正当な理由なく申請を怠ると、10万円以下の過料の対象になります
当社は司法書士と連携して進めます。
ご自身の日付を出すところから
2つの期限は、相続が始まった日が分かれば、その場で日付にできます。
当社では、相続の開始日をうかがって、2つの期限をカレンダーの日付に直してお渡ししています。
そのうえで、登記・話し合い・境界・片付け・売却にかかる期間を逆算します。
売ると決めていなくて構いません。無料査定・ご相談のページから、あるいはお電話でどうぞ。
まとめ
- 相続した実家の売却に関わる期限は、2つある
- 起点が違うので、カレンダーの上では半年以上ずれることがある
- まず「相続税を納めたか」を確かめる
- 制度そのものにも期限がある
- 登記・話し合い・境界・片付け・売却期間を入れると、3年は長くない
売ると決めていない段階でのご相談が、ほとんどです。
期限を日付にしておくだけでも、あとの判断がしやすくなります。
※この記事は一般的な情報の提供を目的としています。税制は改正されることがあり、適用の可否は個別の事情によって異なります。実際のご判断にあたっては、税理士にご確認ください。
※記載は2026年9月時点の制度にもとづいています。
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