収益物件の相談では、「いくらで売れるか」だけに目が向きやすくなります。しかし、仲介、直接買取、保有継続では、価格の意味、決まるまでの期間、修繕、空室、契約条件が異なります。
一つの方法を先に決めず、同じ条件で比べるための7項目を整理します。

1. 価格
仲介の査定価格や売出価格は、成約を保証する金額ではありません。市場の反応を見ながら、価格や条件を調整する場合があります。
直接買取は、不動産会社が買主として提示する価格です。再販売の費用、修繕、保有期間中の費用・リスク、利益を見込むため、仲介想定価格と差が出る場合があります。
保有継続では、現在の資産価値だけでなく、今後の家賃収入、空室、修繕、借入れを考えます。
2. 期間
仲介は買主を探し、条件を調整する期間が必要です。直接買取は、調査と条件が整えば仲介より早く決められる場合があります。ただし、物件や権利関係によって期間は変わります。
保有継続には売却期間はありませんが、管理と判断を続ける時間が必要です。
3. 費用
仲介では仲介手数料や売却準備の費用、直接買取では契約条件ごとの費用、保有継続では管理、修繕、税、保険、借入返済などを確認します。
「売却価格」ではなく、確認できる範囲の手取り見込みで比較します。税額は個別資料をもとに税理士へ確認します。
購入時に聞いた修繕費と現在の見積りが違う場合は、金額の大小だけで判断せず、説明者、工事範囲、確認時点を分けます。購入時の説明と現在の修繕見積りを確認する方法
見積書やレントロールの数字だけで結論を出さず、資料の前提を分けて整理できます。売却を決める前の段階でもご相談いただけます。
4. 修繕・空室
仲介では、現在の状態で売るか、修繕や空室改善後に売るかを検討します。工事費をかけても、その全額を売却価格で回収できるとは限りません。
直接買取では、修繕前の状態で検討できる場合がありますが、その費用やリスクは買取価格へ反映されます。
保有継続では、今後必要な工事と空室改善を資金計画へ入れます。
5. 契約条件
仲介では媒介契約、販売方法、報告、契約条件を確認します。直接買取では、不動産会社が買主となること、価格の有効期限、引渡日、契約不適合責任などを確認します。
査定を依頼した会社に売却する義務はありません。
6. 管理負担
家賃が入っていても、修繕、入居者対応、管理会社との調整、帳簿・申告などの負担があります。金額とあわせて、誰がどれだけ時間を使うかを確認します。
7. 売却後・保有後の目的
借入返済、相続整理、生活資金、別の資産への組替え、管理負担の軽減など、目的によって重視する項目が変わります。
急ぐ事情がなければ、すぐ売らずに資料をそろえ、時期を比較する選択肢もあります。
比較表
| 項目 | 仲介 | 直接買取 | 保有継続 |
|---|---|---|---|
| 価格 | 市場販売の想定・成約は未確定 | 買主からの条件付き提示 | 将来収支と資産価値は未確定 |
| 期間 | 買主探索・交渉が必要 | 調査後に早く決められる場合 | 管理を継続 |
| 修繕 | 現状・修繕後を比較 | 価格へ費用・リスクを反映 | 工事と回収期間を検討 |
| 空室 | 販売条件へ影響 | 価格へ影響 | 家賃減少が継続 |
| 費用 | 仲介・準備費用等 | 契約条件による | 管理・修繕・税・保険等 |
| 契約相手 | 市場で見つかった買主 | 買取会社 | 売却契約なし |
| 向く状況 | 期間を取り市場へ提示 | 条件確定を急ぐ | 収支・管理を継続できる |
相談前にそろえる資料
- レントロール
- 直近の収支
- 借入残高
- 修繕履歴と見積り
- 契約書・重要事項説明書
- 希望時期と売却後の目的
保有と売却を比較する時は、満室想定賃料を現在の入金額として扱わず、契約賃料、募集賃料、改装後想定と分けます。満室想定賃料と現在の家賃収入の違い
仲介、直接買取、保有継続のどれかを先に決める必要はありません。現在の収入、修繕、借入れ、希望時期を確認し、比較できる形に整理します。
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