収益物件の資料には、満室になった場合の想定賃料が示されることがあります。しかし、現在の入金額、契約上の賃料、募集賃料、改装後に見込む賃料は同じ数字ではありません。
保有、修繕、売却を検討する時は、それぞれの数字の意味と前提を分けます。

1. 現在の入金額
現在、実際に入金されている賃料です。滞納、フリーレント、管理会社からの送金時期、共益費等を分けて確認します。
2. 契約賃料
賃貸借契約に記載された賃料です。現在の入金額と一致しているか、更新・減額・滞納がないかを確認します。
3. 現在の募集賃料
空室について現在募集している賃料です。募集広告の金額であり、その金額で契約が成立するとは限りません。募集期間、問い合わせ、内見、成約条件も確認します。
4. 満室想定賃料
すべての部屋が一定の賃料で入居したという仮定の数字です。どの賃料を使ったか、空室が埋まるまでの期間や募集費用を含むかを確認します。
見積書やレントロールの数字だけで結論を出さず、資料の前提を分けて整理できます。売却を決める前の段階でもご相談いただけます。
5. 改装後想定賃料
設備や内装を変更した後に見込む賃料です。工事費、工事中の空室、募集期間、周辺需要を含めて検討します。実績賃料と分け、予測であることを明記します。
6. 比較に必要な費用
賃料だけでなく、空室、管理料、修繕、原状回復、募集費、税、保険、借入返済などを確認します。表面利回りを使う場合も、どの賃料を分子にしたかを明記します。
確認表
| 数字 | 月額 | 根拠日 | 資料 | 確定・想定 |
|---|---|---|---|---|
| 現在の入金額 | 送金明細等 | 確認値 | ||
| 契約賃料合計 | 契約書・レントロール | 契約値 | ||
| 現在の募集賃料 | 募集広告 | 募集値 | ||
| 満室想定賃料 | 査定・収支計画 | 想定値 | ||
| 改装後想定賃料 | 工事・募集計画 | 予測値 |
売却・保有判断への使い方
保有を続ける場合は、現在入金と今後の費用を基準にします。修繕する場合は、工事後の賃料上昇だけでなく、空室期間と回収年数を確認します。
売却する場合は、買主が現在の収入を重視するか、満室化・改装後の可能性を評価するかで見方が変わります。想定値を確定収入として見せず、根拠と実現までの条件を付けます。
収入の数字を分けた後は、修繕費、空室期間、借入返済、契約条件を加え、仲介・直接買取・保有継続を比較します。仲介・直接買取・保有継続の比較表を見る
仲介、直接買取、保有継続のどれかを先に決める必要はありません。現在の収入、修繕、借入れ、希望時期を確認し、比較できる形に整理します。

